危機管理で最も大切なことって何?<後編>
- fixers-inc
- 2021年11月28日
- 読了時間: 4分
更新日:2023年11月3日

3回にわたってお伝えさせていただいた「危機管理で最も大切なことって何?」
いよいよ今回が最終回となります。
前編はこちらから
中編はこちらから
さて、ファクトを共有すること=情報の一元管理のため何をするのか?「たった5つの情報項目」をお伝えします。
「ポジションペーパー」 FACTを把握するためのレポートで情報処理をスタート!
① 事実<5W1H> 特に"WHEN"が何時も置き去りにされます。時系列と正確な日時を。
• 発端~経緯~現状まで、起きた事実や反応を時間ごとに箇条書きで明記
• 誰の行動か?発言か?氏名・役職・性別・年代なども可能な限り
② 原因・背景<発生原因・背景の究明>
• 何故それが起きたのか?発覚したのか?不明な場合は推測でも可
• 背景として過去における類似ケースの有無はとても重要
③ ダメージ・被害内容(被害地域・被害者数・被害件数・被害程度・損量数、損害金額など)
• 上記概算に加えて、出来れば影響予測も(業績、業界、企業イメージ・レピュテーション・リーガルリスクなど)
④ 問題の内容・範囲・対応状況
• 問題とされている内容…どのような部分が問題とされているのか?
• なぜ問題なのか…法令的な原因か、倫理的、ポリコレ的な原因か?
• 現在までの対応状況…社内外で既に何か対応をしたか、進行中のものはあるか?
• 外部への伝達、公表、個別連絡状況…関係各社への連絡状況はどうか?
⑤ 今後の対処予定と外部反応
• 今後の対処内容
• スケジュール
• リカバリー・補償の有無
• 当局の反応
• SNS、メディアの反応
※上記ポジションペーパー作成の注意点
危機発生後のあらゆる情報を書き出したもの。情報は随時更新していく。
確認中や判明していない情報は「確認中」「調査中」「不明」と表記して構わない。
特に経緯と状況についてはできるだけ詳細に、シンプルな表現で記載してください。

たったこれだけの事なんです!!
しかし、私の経験則において、初動でこの「ポジションペーパー」の作成ができていたケースは、残念ながら数少なく、あったとしても、ほとんどが現場や関係部署で飛び交ったメールをそのままコピーしたものに過ぎませんでした。
だからこそ、初期対応に多くの時間を要します。
経緯を起きた順番に並び替えるだけでも一苦労。その上、改めて主語を確認すると、その場にいた過半数の方々が
「えっ!そうなの?社外メンバーと報告受けていたが」
「うちの部署の従業員も含まれていたとは一切聞いてない」
と揉めはじめることも少なくありません。
それもそのはずです。こういった場合、ほとんどが口頭かメールで逐次情報を散発的に知らせされていただけなのです。ましてや、時間の経過毎の更新情報を何時の段階で見聞きしたかで各自のフェーズも理解レベルもバラバラなんですから。
中には、初期段階の情報しか社長のお耳に入れていないことが判明し、秘書の方が大慌てで緊急役員会議を招集するといったことも多々あります。また、影響範囲が自部署にも及ぶ事を初めて把握した役員が慌てて部下に電話し、激詰める悲劇もよく見る光景です(笑)
当たり前ですが、起きた事象を客観的に把握出来ていなければ対処も対策も不可能です。危機管理のメンバー選定や組織体制を早急に決めようにも、まずは情報の洗い出しと確認から再スタートしなければなりません。
そう、国家間のインテリジェンスの世界も、政府のコロナ対策も、企業の危機管理もなんら変わりなく、情報が全てを制するのです。
ここまでお読みいただいて、ようやくご納得いただけましたでしょうか?「イロハのイ」が如何に大切なのか。そして簡単に見えるものの、それは意外に難しく、なかなかできないことが。
だからこそ、初動で不完全かつ穴だらけだったとしても、「ポジションペーパー」が出てきた時は、正直、感服します。そして、おー!今回の危機管理とダメージコントロールは、間違いなく最速で成功するだろうと心の中で確信します。
ちなみに、この予測はこれまで一度たりともとも外れた事はありません。
危機において、当り前の事が出来る企業は強くしたたかです。そして、全ての経営判断が早いことは明らかです。
何だそんな簡単なことか、と思われた皆様!
危機が起きた時に「最も大切こと」ほんとうに出来てますか?!
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